日本酒・桜色

ピンク色のラベルの揃った日本酒の瓶の写真

3月になり、すっかり春らしくなってきました。コロナ禍で今年は皆でわいわい集まることは難しいでしょうが、そろそろお花見が気になってくる頃ですね。

この頃になると、お店の酒瓶もみんなそろってピンクに染まり出します。桜色のラベルが並ぶと、お花見の季節なんだなあと感じます。

今回は、ラベルの色だけじゃない「日本酒の中の “桜” 」について、ご紹介します。

桜の “名前” のつく日本酒

桜の花の写真

まずは直球で “名前” から。

日本酒の名前には、ご存知のとおり、花鳥風月や縁起物などからつけられている銘柄が本当にたくさんあります。

花では、菊や牡丹、梅など。縁起物では、鶴に亀、富士や鷹、鯛、鳳凰などなど。他にも、鳥や月にちなんだ名前のお酒もあります。縁起を担いだり、四季折々を楽しむ日本らしい名前のつけ方だなと思います。

春の代名詞「桜」の名前がついたお酒も、当然、全国で数多くつくられています。そんな「桜」の銘柄を少し?ご紹介します。

ざっと挙げてみただけですが、本当にたくさんありますね!
でも、上に挙げた以外にも、桜の名前のつくお酒はまだまだあります。日本人の “桜” 愛をこんなところからも感じてしまいます。

桜の “酵母” の日本酒

桜の花と枡酒の写真

さて、“名前” の次は、日本酒づくりに欠かせないものの1つ、“酵母菌” 。

酵母には、その酒蔵独自の「蔵付き酵母」や、日本醸造協会による「協会酵母」(6号:通称 新政酵母、7号:通称 真澄酵母、9号酵母、1801酵母など)、各都道府県の試験研究機関による「都道府県酵母」などがあります。

最近は、清酒ではなくワイン酵母を使ったものなど新しい酵母を使った日本酒も出てきていますが、他にも“花” を使った酵母があるのをご存知でしょうか?

花からの酵母としては、東京農業大学が研究開発した「花酵母」が代表的です。

◾️花酵母とは・・・

『一般に、お酒造りに広く使用されている酵母は、酒のもろみから分離されてきました。
また、近年、これらの酵母を人工的に変化(変異株の造成)させて特定の醸造能力を高めた酵母も多く利用されています。東京農業大学短期大学部醸造学科酒類学研究室では、無限の可能性を秘めた自然界に着目し、個性豊かで特徴ある酵母を分離することを試みました。
その結果、自然界に咲く花々から様々な香味を醸し出す優良酵母を分離することに成功しました。
まさに、花からの贈り物というべき天然の酵母です。』
(東京農大 花酵母研究会サイトより:http://www.hanakoubo.jp/ )

ナデシコ、ツルバラ、ヒマワリ、イチゴ、マリーゴールドなど、10種類以上もの花から酵母が分離されています。それぞれに香りや酸味、味わいの出方に特徴があり、つくられたお酒がどんな風味になるのか、楽しそうです。

花酵母は、東京農業大学の研究をはじめ、それ以外のところでもつくられているようです。お花見の主役のサクラの酵母もつくられていて、それを使った日本酒も出されているのです。

桜の酵母でつくられたお酒たち、どんな味わいなのでしょう?

従来の清酒系の酵母ではなく、花酵母を使った日本酒。海外からの注目も高く世界への広がりを見せる日本酒ですが、香りや酸味もこれまでとはまた違うお酒も生まれ、日本酒の味わいの幅もどんどん広がっているのだと、これからも楽しみになります。

桜の “色” の日本酒

ピンク色の液体の写真

最後にご紹介するのは、お酒の “色”。

桜の酵母ではないけれど、酵母の力で桜色になるお酒もあります。
ピンク色になる不思議! 初めて見た時は、本当に自然の力だけでこんな色が出るのかと驚いたことを覚えています。

桃色のにごり酒の写真

これらは、「赤色酵母」という突然変異でつくられた酵母により発色するそうです。
(きょうかい酵母:赤色酵母:https://www.jozo.or.jp/yeast/red/ )

にごりのものは基本的に甘口のお酒ですが、見た目にも桜色が春らしく、うきうきした気持ちになれそうな気がします。

名前・酵母・色と、日本酒の中の “桜” を探してきてみましたが、気になったお酒はありましたでしょうか。

上でご紹介したお酒や酒蔵さんは、自分が知っているごく一部です。他にももっとたくさんあると思いますので、ぜひご自身でも探して飲んでみてください!

桃色のラベルの日本酒の瓶とお料理

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桜の開花は、今年はいつ頃になるのでしょうか。

静かに桜を見て楽しんだ後、家で花見酒を楽しむのも一興、少し早く「桜」の日本酒でお花見気分を楽しむのも一興。

ラベルはどれもこれもピンク色づくしで、猫も杓子もここまでするのはちょっと節操がない感じもしなくもない?なんて思ったりするかもしれませんが、でも、うららかな春気分を楽しめるなら、それはそれでOK! 酒蔵さんもみんな、春気分を盛り上げてくれているのだ!と、すべてを春のせいにして楽しんじゃおうではありませんか!

いつも楽しくWakuWakuを忘れずに。
そんな時間のお供をしてくれるお酒にも感謝して、今晩もカンパイ!!

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